ブックマークのバックアップ方法と、その限界
「パソコンを買い替える前に、ブックマークを控えておきたい」「同期が切れて全部消えたら怖い」。
そう思って調べると、たいてい「エクスポートしましょう」という手順にたどり着きます。実際、Chrome も Firefox も、数クリックでHTMLファイルに書き出せます。所要は1分ほどです。
しかし、その1分で守れるものにははっきりした限界があります。書き出されるのは、ページの中身ではないからです。
これは仕組みの話で、設定を変えれば解決するものではありません。この記事では、まずバックアップの手順を押さえたうえで、何が守れて何が守れないのかを整理します。「大事なページを失いたくない」人に向けて書きました。読み終えると、自分にとって足りているかどうかを判断できます。
バックアップの手順
主要なブラウザは、いずれもブックマークをHTMLファイルとして書き出せます。
- ブックマークマネージャを開きます。
- メニューから「ブックマークをHTMLファイルにエクスポート」を選びます。
- 保存先を指定して書き出します。
戻すときは、同じメニューの「インポート」から、書き出したファイルを選びます。別のブラウザへ移すときも同じ手順で、HTMLファイルが共通の受け渡し形式になっています。
同期を使っている場合は、アカウントにログインすれば別の端末にも反映されます。ただし同期は「バックアップ」ではありません。片方で消した項目は、もう片方でも消えます。誤って削除したものを取り戻す仕組みではない、という点は押さえておいてください。
書き出されるのは何か
ここが本題です。書き出したHTMLファイルを、テキストエディタで開いてみると分かります。中に入っているのは、タイトルとURLの一覧です。
| 書き出されるもの | 書き出されないもの |
|---|---|
| ページのタイトル | ページの本文 |
| URL | 画像・レイアウト |
| フォルダの構造 | 保存した時点の内容 |
| 追加した日時 | ページが消えた後に読む手段 |
つまり、バックアップで戻るのは「目印」だけです。リンク先のページが消えていれば、目印をたどってもたどり着けません。
これは欠陥ではなく、そもそもの役割の違いです。ブックマークは「また見に行くための場所の記録」であって、「中身を残す仕組み」ではありません。
リンク先は、思っているより消える
「消えることなんてあるのか」と思うかもしれません。実際には、次のような形でよく起きます。
- 記事の削除・移動:メディアのリニューアルでURLが変わる
- サービスの終了:保存先だったサービス自体がなくなる
- 内容の書き換え:URLは同じまま、中身が別のものに差し替わる
- 公開範囲の変更:会員限定になり、読めなくなる
3つ目と4つ目は特に厄介です。**リンクは切れていないので、一覧を見ても気づけません。**開いて初めて「前と違う」と分かります。
注意
仕事で参照した資料や、申し込み時の画面のように「あとで確認できる必要があるもの」は、ブックマークだけに任せない方が安全です。目印と中身は別に管理します。
「また見る」と「残す」を分ける
対処はシンプルで、用途で分けることです。
- また見に行きたいだけのページ → ブックマークで十分。定期的にエクスポートしておけば、端末が壊れても一覧は戻せます
- 消えると困るページ → 中身ごと手元に残します
分ける基準は「そのページが明日消えたら困るか」です。困らないならブックマークで足ります。困るなら、目印だけでは足りません。
数が増えすぎて管理できなくなっている場合は、先に整理をしてから分けると楽です。手順はブックマークが多すぎるときの整理にまとめています。
中身ごと残す方法
中身を残す手段はいくつかあります。ページを画像として撮る、HTMLファイルとして保存する、PDFにする——どれも「元のページが消えても手元に残る」という点は共通です。
違いは、あとで何ができるかです。画像として残したものは見返せますが、文字で探すことはできません。文字が残る形式なら、保存したあとに語で探せます。
ArchiveSeal は、画面の見た目をそのまま画像として残し、あわせてページの本文テキスト・URL・保存日時を取得して残す方式です。印刷用の再レイアウトを介さないため、崩れが起きにくくなります。残した PDF のヘッダーには URL と日時が入ります。
基本の保存・グループ整理・画像 PDF(A4 縮小)の出力は無料で使えます。Pro 版では、範囲を指定して PDF 出力(テキスト検索に対応)、PDF の連結・一括・A4 分割出力、PDF のテキスト検索対応、本文の閲覧ができます。
どの手段を選ぶにしても、決め手は「消えたときに何が残っていてほしいか」です。ブックマークのバックアップはどのくらいの頻度で取ればいいですか?
決まりはありませんが、大きく整理したあとと、端末を買い替える前は取っておくと安心です。書き出しは1分ほどで終わるので、月に1度など自分で決めた区切りで習慣にしてしまうのが確実です。書き出したファイルは日付を入れた名前で保存しておくと、あとから世代を選べます。
同期していればバックアップは不要ですか?
別の話として扱ってください。同期は複数の端末で同じ状態を保つ仕組みで、片方で削除した項目はもう片方でも消えます。誤って消したものを取り戻す用途には向きません。エクスポートしたファイルは、その時点の状態がそのまま残るという点で役割が違います。
バックアップしたファイルから、消えたページの中身は読めますか?
読めません。書き出されるのはタイトルとURLの一覧で、ページの本文や画像は含まれていないためです。リンク先が消えていれば、たどっても表示できません。中身を残したい場合は、ページそのものを保存する方法を併用することになります。
別のブラウザに移せますか?
移せます。主要なブラウザはHTMLファイル形式での書き出しと読み込みに対応しており、これが共通の受け渡し形式になっています。フォルダの構造もそのまま引き継がれます。
リンク先の内容が書き換わっていた場合、気づく方法はありますか?
一覧を見るだけでは気づけません。リンクは切れていないため、開いてみるまで分からないためです。内容が変わると困るページは、参照した時点の状態を手元に残しておくのが確実です。
まとめ
ブックマークのバックアップは1分で終わり、端末が壊れても一覧を戻せます。やっておく価値は十分あります。
ただし戻るのは目印だけです。リンク先が消えていれば、そこから先はありません。「また見に行きたい」と「消えると困る」を分けて、後者だけ中身ごと残しておく——これで、1分の作業が守れる範囲がはっきりします。
まずは一度エクスポートして、書き出されたファイルの中身を見てみてください。何が入っていて何が入っていないかが、一目で分かります。
