web魚拓は違法?運営の規約と著作権法に書かれていること
「web魚拓を取ったら、著作権の問題になるのでは……」
「自分のページが魚拓に取られていた。これは違法なのではないか」
「運営は『引用』だと説明しているらしいが、それで済むのか」
web魚拓を取る前、あるいは取られた後に、こんな疑問が浮かんで調べている方に向けた記事です。
先に書いておきます。この記事は、web魚拓が違法か適法かを断定しません。 私はArchiveSealというWebページ保存用のChrome拡張機能を開発していますが、法律実務家ではありません。書くのは、運営の規約・Q&Aと、著作権法の条文に何が書かれているかだけです。
運営は、ウェブ魚拓を「日本の著作権法で認められた『引用』をウェブ上で仲介するサービス」と説明しています。これは運営の説明です。条文は引用に条件を付けていて、条件に当たるかどうかは、取る内容と使い方によって変わります。
この記事では、2026年10月25日に確認した運営のページと、e-Gov法令検索の条文をもとに、次の3つを整理します。
- 運営の説明と、条文に書かれていること
- 取る側が読んでおく、利用規約の禁止事項
- 取られた側が使える、削除の依頼
読み終えると、「何が書かれていて、何が書かれていないのか」を自分で区別できます。紛争や法的な判断が絡む場面では、実際の対応を弁護士等の専門家に相談してください。
運営は、ウェブ魚拓を「引用の仲介」と説明しています
運営のページには、ウェブ魚拓についての説明が2か所あります。
運営の「考え方」のページは、ウェブ魚拓を、日本の著作権法で認められた「引用」をウェブ上で仲介するサービスと説明しています。Q&Aでは、引用は著作権法第三十二条で定義されていて、引用においては、著作権利者の許諾がなくても著作物を利用できると書かれています。
| 出どころ | 書かれていること |
|---|---|
| 運営の「考え方」のページ | 日本の著作権法で認められた「引用」をウェブ上で仲介するサービス |
| 運営のQ&A | 引用は著作権法第三十二条で定義。引用なら、著作権利者の許諾がなくても著作物を利用できる |
| 運営のQ&A | ブログなどからリンクを張って利用できる |
ここで区別しておくことがあります。表は運営が自分のサービスをどう説明しているかであり、裁判所や法律の専門家の判断ではありません。運営の説明があっても、個々の魚拓が引用の条件に当たるかは、別に判断が要ります。
条文は、複製と公開の権利を著作者に置き、例外を定めています
次に、条文の側を見ます。e-Gov法令検索で確かめた、著作権法の4つの条です。
| 条 | 書かれていること |
|---|---|
| 第二十一条(複製権) | 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する |
| 第二十三条第1項(公衆送信権) | 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する |
| 第三十条第1項(私的使用) | 個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、一定の場合を除き、その使用する者が複製することができる |
| 第三十二条第1項(引用) | 公表された著作物は、引用して利用することができる。ただし、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない |
条文は、複製と公衆送信の権利を著作者に置いたうえで、例外を別の条で定めています。例外の1つが、第三十二条の引用です。運営が「引用」と説明しているのは、この条のことです。
引用には「公正な慣行に合致する」「引用の目的上正当な範囲内」という条件が付いています。この2つに当たるかどうかは、保存する中身、保存する目的、載せ方によって変わります。条文を読んだだけで、個別の魚拓について白黒をつけることはできません。
なお、第三十条(私的使用)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内での使用を目的とする複製についての条です。魚拓についての運営の説明は、引用(第三十二条)の側です。第三十条が個別の魚拓にどう当てはまるかは、この記事では扱いません。
取る側が読んでおく、利用規約の禁止事項
ウェブ魚拓を使う前に、運営の利用規約を読んでおくと、取ってはいけないものが分かります。禁止事項に書かれているのは、次のような項目です。
- 他者の権利を不当に侵害する行為
- 無修正のわいせつ物、児童ポルノなど国内で公開が禁止されているページの取得
- 著作権法に基づく、情報の収集を禁止している条件を満たすと思われるホームページの取得の禁止(ただし、ロボット向けのものは無視される、と書かれています)
- その他の不法行為
3つ目は、規約に書かれた表現のとおりに写しています。どのページが「条件を満たすと思われる」のかは、規約には説明がありません。
もう1つ、免責事項があります。規約は、ウェブ魚拓を利用したことによって生じる損害について、運営会社は責任を負わないものとしています。運営会社が責任を負わない、という書き方です。取った魚拓の扱いは、自分で確かめてから使う必要があります。
取られた側が使える、削除の依頼
自分のページが魚拓に取られていた場合の窓口も、Q&Aに書かれています。
運営のQ&Aは、魚拓の削除について、該当のページの「削除」ボタンから依頼するよう案内しています。理由が複雑な場合や、弁護士等を通じて連絡する場合には、運営への連絡先から直接連絡することもできる、とも書かれています。
Q&Aは、リンクを張るだけであっても、経緯によっては名誉棄損や侮辱に当たる可能性がある、とも書いています。取る側にも、取られた側にも関わる一文です。取った魚拓がどこまで公開されるかは、web魚拓を取るとバレる?通知・公開範囲・検索結果を公式で確認で整理しました。
削除された魚拓の内容を照会したい場合については、Q&Aに、基本的に法的な判断が必要な場合に限り、弁護士や裁判所からの要請を前提とする、と書かれています。法的な判断が絡む場面は、運営の側も専門家経由を前提にしています。
公開しない形で残す方法もあります
ウェブ魚拓は、保存したページを、ブログなどからリンクを張って使える形で残すサービスです。運営のサービスに預ける形なので、公開や削除の扱いは、運営の規約とQ&Aに書かれています。
一方、自分のブラウザの中に保存して外へ出さない方法は、ウェブ魚拓のように第三者のサービスに残す方法とは、外から見える状態になるかどうかが違います。どちらが合うかは、残したい目的で決まります。手段全体の見比べはWebページをアーカイブ/魚拓で残す方法に、ウェブ魚拓そのものの取り方はウェブ魚拓の使い方と代替手段【残す・調べる】にまとめています。
ArchiveSealは、開いているページの見た目を画像として残し、あわせて本文テキスト・URL・保存日時を、手元の管理画面に保存するChrome拡張機能です。
Pro の機能は 10 日間無料で試せます。登録も決済情報の入力も不要で、期間が終わると自動的に Free に戻ります。
よくある質問
web魚拓は違法ですか?
この記事では断定しません。運営は、ウェブ魚拓を日本の著作権法で認められた引用をウェブ上で仲介するサービスと説明しています。一方、条文は引用に、公正な慣行に合致することと、引用の目的上正当な範囲内であることを条件として付けています。個別の魚拓がこの条件に当たるかは、保存する中身と使い方で変わります。判断が必要な場面は、弁護士等の専門家に相談してください。
自分のページがweb魚拓に取られました。削除できますか?
運営のQ&Aは、該当のページの削除ボタンから削除を依頼するよう案内しています。理由が複雑な場合や、弁護士等を通じて連絡する場合は、運営への連絡先から直接連絡することもできると書かれています。
web魚拓を取るときに、気をつけることはありますか?
利用規約の禁止事項を先に読んでください。他者の権利を不当に侵害する行為、国内で公開が禁止されているページの取得、著作権法に基づく情報の収集を禁止している条件を満たすと思われるホームページの取得などが挙がっています。また規約は、利用によって生じる損害について運営会社は責任を負わないとしています。
web魚拓は裁判で使えますか?
この記事では扱いません。魚拓の法的な効力や、紛争での使えるかどうかの見通しは、専門家の判断が要る領域です。弁護士等の専門家に相談してください。
自分のパソコンに保存するだけなら、条文は違いますか?
著作権法には、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内での使用を目的とする複製を定めた第三十条があります。ただし、個別の保存が第三十条に当たるかは、この記事では判断しません。条文の中身は、e-Gov法令検索で確かめられます。
まとめ
- この記事は、web魚拓が違法か適法かを断定しない。 書いたのは、運営の規約・Q&Aと条文に、何が書かれているか
- 運営は、ウェブ魚拓を引用の仲介と説明している。これは運営の説明で、個々の魚拓の判断ではない
- 条文は、複製と公衆送信の権利を著作者に置き、引用(第三十二条)に「公正な慣行」「正当な範囲」の条件を付けている
- 取る側は、利用規約の禁止事項と免責事項を先に読む
- 取られた側は、削除ボタンから依頼できる。理由が複雑な場合は運営へ直接連絡できる
- 紛争や法的な判断が絡む場面は、弁護士等の専門家に相談する
運営が何を言い、条文が何を定めているかを分けて読むと、「違法かどうか」という大きな問いが、自分の場面で確かめるべき小さな問いに分かれます。