領収書を電子化して保存する方法|国税庁の資料で確かめること
「ネットで買ったものの領収書は、PDFにして保存すればいいのだろうか」
「印刷して保管していたけれど、それで足りているのか不安になった」
「紙の領収書をスマホで撮って、電子化してもいいのだろうか」
領収書の電子化は、ネットで受け取った領収書と、紙で受け取った領収書で話が変わります。国税庁の「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)には、電子的に受け取った領収書等は「データのまま保存しなければならない」と書かれています。
紙で受け取った領収書をスキャナやスマホで読み取って残す「スキャナ保存」は、国税庁のパンフレット(令和8年6月)では【希望者のみ】とされています。
この記事は、国税庁の資料に書かれていることの紹介です。読んだ人が保存の対象になるか、どの要件が当てはまるかの判断はしません。判断が要るときは、記事の最後に挙げた相談先に確かめてください。
私は、ArchiveSealというWebページ保存用のChrome拡張機能の開発者です。この記事では、国税庁の資料の書き方をそのまま引いて、領収書を電子化して残すときに確かめることを整理します。
この記事で分かることは、次の3つです。
- ネットで受け取った領収書について、国税庁が書いていること
- 紙の領収書を電子化する「スキャナ保存」の位置づけ
- 迷ったときの相談先
先に、国税庁の資料の「版」を確かめます
電子帳簿保存法の一問一答は、版が替わってきました。国税庁の「過去分の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」のページには、電子取引関係として令和7年6月・令和3年12月の版が並んでいます。
この記事で引くのは、一問一答の【電子取引関係】と【スキャナ保存関係】の令和8年7月の版です(2026年10月15日に確認)。検索で見つかった解説や古い資料の説明が、今の版と同じとは限りません。資料を読むときは、表紙の版を先に確かめてください。
ネットで受け取った領収書は、「電子取引」に含まれます
一問一答の問2では、「取引情報」とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう、とされています。領収書も、取引情報を載せる書類の例に入っています。
国税庁の資料には、電子取引に当たるものの例が書かれています。
- 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)
- ECサイトで購入した商品の請求書や領収書(電子取引データ保存要件チェックシート・令和6年11月)
- クラウドサービスを利用して取引先から請求書等を受領した場合
- アプリ提供事業者から電磁的方式により利用明細等を受領する行為
- スマートフォンで授受した領収書等データ
一問一答の問5には、ホームページからダウンロードした領収書等のデータ(PDFファイル等)や、ホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用する場合も挙がっています。回答は、挙げられた(1)〜(7)のいずれも「電子取引」に該当すると考えられる、というものです。
電子取引を行った場合に、取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないのは、概要のページによると「所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者」です。特設サイトも、所得税法・法人税法上の保存義務者となる方は、特に「電子取引」について確認するよう案内しています。自分が保存義務者に当たるかどうかは、この記事では判断できません。
印刷して保存するだけでは足りない、と読める文があります
一問一答には、次のように書かれています。
- 電子的に受け取ったり送付した請求書や領収書等は、「データのまま保存しなければならない」(問30)
- 令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録は、「その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えることはできません」(問98)
- 令和3年度の税制改正後は、「当該出力した書面等の保存措置が廃止され」た(問5)
紙にも出力することを禁じる文ではありません。同じ一問一答には、次の文もあります。
- 自己の管理の便宜のために書面に出力したり、データ喪失時に備えて念のため書面に出力したものを併せて保存しておくといった対応は、「特段禁止されていません」(問30)
- 電磁的記録を削除せず、保存要件に沿って保存した上で、書面に出力し、その他の書類と一緒に整理することは、「問題ありません」(問31)
国税庁の書き方では、データを保存することが先にあり、紙に出力して整理するのは、そのうえでの扱いです。
また、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力した書面をスキャナ保存することは認められるか、という問いに、問99は「認められません」と答えています。ネットで受け取った領収書を印刷して、その紙をスキャンして残す方法は、国税庁の文では認められていません。
データは、どんな形で残すのか
一問一答の問4では、メールで受け取った場合の電磁的記録の保存を、次のように説明しています。
- メール本文に取引情報が書かれているときは、そのメールを保存する
- 添付ファイルで領収書等が届いたときは、その添付ファイルを保存する
- ハードディスク、DVD、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にする
問6では、添付ファイルで届いた領収書等は「当該添付ファイルのみを保存しておけばよい」とされ、取引情報の含まれていない電子メールは「保存する必要はありません」とされています。メールの残し方は、領収書のメールを保存する方法にまとめています。
検索については、「検索できるような状態で保存すること」が必要とされています(問30)。問5には、データが添付された電子メールを「当該メールソフト上で閲覧できるだけでは十分とは言えません」という文もあります。
検索の要件には、令和5年度の税制改正前(令和5年12月31日までに行う電子取引)の扱いが別に書かれた部分もあります(問19の(注))。検索の具体的な項目や例外は、この記事では書きません。国税庁の資料で確かめてください。
保存期間は、問17で「それぞれの法律で定められた期間保存する必要があります」とされています。年数は、個人・法人などの区分で違うため、この記事では書きません。
画面で見る領収書を、残すとき
ネットで受け取る領収書には、ウェブ上の画面で見るものが多くあります。Amazonの領収書の残し方は、Amazonの領収書を保存する方法で整理しています。
どの注文の、いつ出した領収書かを、画面ごと一緒に残したいときは、画面を保存する方法もあります。
Chrome拡張の ArchiveSeal は、画面の見た目をそのまま画像として残し、あわせてページの本文テキスト・URL・保存日時を取得して残す方式です。印刷用の再レイアウトを介さないため、崩れが起きにくくなります。残した PDF のヘッダーには URL と日時が入ります。
ログインして表示している画面も、そのまま残せるのが特徴です。フォームの入力値やパスワードは取得しません。
なお、保存日時は利用者のパソコンの時計の時刻で、第三者がいつ保存したかを証明するものではありません。国税庁の保存要件を満たすかどうかは、この記事では判断しません。
基本の保存・グループ整理・画像 PDF(A4 縮小)の出力と、保存したページの本文の閲覧は無料で使えます。Pro 版では、ページの HTML を保存し、管理画面で元のまま開いて閲覧(オフライン可・文字の選択も可)/保存した HTML を1つのファイルとしてダウンロード/範囲を指定して PDF 出力(テキスト検索に対応)/PDF の連結・一括・A4 分割出力/PDF のテキスト検索対応ができます。Pro の機能は 10 日間無料で試せます。登録も決済情報の入力も不要で、期間が終わると自動的に Free に戻ります。
紙で受け取った領収書を電子化するときは、スキャナ保存です
紙で受け取った領収書を電子化して残す制度は、「スキャナ保存」です。一問一答【スキャナ保存関係】の問1は、取引の相手先から受け取った請求書等について、一定の要件の下で、「書面による保存に代えて、スキャン文書による保存が認められる制度」と説明しています。
国税庁のパンフレット(令和8年6月)では、制度の位置づけが次のように分けられています。
- スキャナ保存【希望者のみ】
- 電子取引データ保存【法人・個人事業者は対応が必要】
スマホで撮る場合については、問5が、スマートフォンやデジタルカメラ等も、入力装置に該当すれば「スキャナ」に含まれると説明しています。対象の書類は、問2で、規則第2条第4項に規定する書類を除く全ての書類とされています。保存期間は、スキャナデータについても「それぞれの法律で定められた期間保存する必要があります」(問9)です。
読み取りの要件や、読み取ったあとの紙をどう扱うかは、一問一答【スキャナ保存関係】に書かれています。この記事では書かずに、確認先として案内します。
迷ったときの相談先
国税庁は、次の窓口や資料を案内しています。
- 電子帳簿等保存制度特設サイト(説明動画やQ&A)
- 国税局電話相談センター: 制度等に関する一般的なご質問やご相談は、各国税局の電話相談センターで受けています。国税局の職員等が答えています
- 国税庁ホームページの「チャットボット」「タックスアンサー」
国税に関するご相談についてのページに、電話相談の案内があります。
領収書のページをPDFにするときの印刷設定は、Chromeでページをきれいに印刷・PDF化する設定にまとめています。
よくある質問
ネットで受け取った領収書は、印刷して保存すればよいですか?
国税庁の一問一答(令和8年7月)には、電子的に受け取った領収書等は「データのまま保存しなければならない」と書かれています。紙に出力して併せて保存することは「特段禁止されていません」とも書かれています。
ネットで受け取った領収書を印刷して、その紙をスキャンして保存してもよいですか?
一問一答の問99は、電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力した書面をスキャナ保存することについて、「認められません」と答えています。
紙の領収書をスマホで撮って保存してもよいですか?
紙で受け取った領収書を読み取って残す制度は「スキャナ保存」で、国税庁のパンフレット(令和8年6月)では【希望者のみ】とされています。一問一答は、スマートフォン等も入力装置に該当すれば「スキャナ」に含まれると説明しています。要件は国税庁の資料で確かめてください。
メールで届いた領収書は、メールごと保存しますか?
一問一答の問4では、メール本文に取引情報があるときはそのメールを、添付ファイルで届いたときはその添付ファイルを保存する、と説明しています。添付ファイルで届いた場合は、問6で「当該添付ファイルのみを保存しておけばよい」とされています。
領収書の電子データは、何年保存しますか?
一問一答の問17は、電子取引データについて「それぞれの法律で定められた期間保存する必要があります」としています。年数は区分によって違うため、国税局の電話相談センターや税務署に確かめてください。
まとめ
- 領収書の電子化は、ネットで受け取った領収書と紙で受け取った領収書で話が変わる
- 国税庁の一問一答(令和8年7月)は、電子的に受け取った領収書等を「データのまま保存しなければならない」としている
- 出力した書面だけでは足りないと読める文がある一方、紙に出力して併せて整理することは「問題ありません」とも書かれている
- 紙の領収書を電子化するスキャナ保存は、パンフレットでは【希望者のみ】
- 資料は版を確かめて読む。迷ったときは、国税局の電話相談センターや特設サイトで確かめる